「新耳袋」殴り込み・・・こいつら正気か!

ギンティ小林 著

「新耳袋」は現代の怪談・怪異譚を百物語形式で収蔵した書物である。
おっさんはもとよりそんな本には近づかない。ん?殴り込み?開いてみると挿絵が怖いながらもなんとなくユ-モラスだったので読んでみた。失敗した。

「こいつら正気か!」

なんと「新耳袋」の話の中からピックアップして現場を特定し、実地検証を兼ねて映像に収めるという。それも、霊能者も同伴せず。憑依されたらどうするつもりなのか?

しかしながらメンバ-のキャラが立っており、怖いながらもなんとなくユ-モラスな取材紀行(奇行?)となっている。まずは少々ビビリな著者、自己中ですぐに逆切れする新人編集者、さらに自己中で無茶振りする編集長、身長180cm超の屈強な体格をした極端にビビリの挿絵画家、等々。またそれぞれの取材では「サイコパス」的な見知らぬ人物とも遭遇し、なんとなく恐怖の余韻をかもしだす。

まず、最初から案内人との待ち合わせで、京都の東映撮影所と松竹撮影所を間違えてしまう。これは多分コミカルな怪談だろうと読み進める。目的地の前に京都の心霊スポットを何箇所か回って撮影するが、けっこうドタバタする。やはりコミックかとおもったら、撮影した映像をチェックすると女性の声で「死・ぬ・気?」と音声が入っていた。

また、京都の幽霊マンションの取材でも、現場でスパイダ-マンのコスプレで騒ぎながら撮影したビデオに、その場に居なかった女性の声で「黙んな!」と入っていた。

「K観光ホテル」・・・関西の心霊肝試しスポットとしては最大級の知名度を誇り、若手芸人がテレビ番組で肝試しに行き、実際に霊らしきものが映りこんでいる映像も放映された。そこへ取材に行くという。ビビリの挿絵画家が怖さをまぎらわすために、道中ずっとどぎついY談を話している。逆撫でするな~!
今回も迷いながら現地に辿り着くが、敷地に入ってカメラを回しだした途端、映像がゆがんだり溶けた感じになりはじめる。一通り全員で見回った後、編集長の無茶振りが始まり、今度は著者に一人で問題の階まで行って撮影してくるように指示を出し、泣く泣く行かされる。

翌日、二人が残ってもう一箇所の取材を終えて電車で帰るとき、向かいの席に座っていた二人の男子中学生がいちゃつき出し、挙句の果てに互いのズボンのポケットに手を突っ込んで局部をもみはじめ、うっとりしているのを見て気分がわるくなり、一旦電車を降りて次の電車に乗る。するとまたも目の前の席で、さっきの中学生が局部をもみあっていた。二つの意味で気味が悪い話である。

「天狗神社」・・・不法侵入した人間が跡形もなく消えてしまうという。
ある晩、肝試しに行った3人の若者が、ベンチに並んで座りタバコを吸っていたところ、真ん中の一人が頭から消えて行き、タバコの煙だけが残った。ほかの二人が見ている前で人間が消失してしまう怪奇現象である。
今度はそこに取材に行くという。今度ばかりは著者も再三辞退を申し出るが、結局押し切られてしまう。
目的地に着くと、ここでもカメラの調子がわるくなる。一通り見て回った後で、全員で記念撮影をすることになるが、皆が真ん中を嫌がりドタバタする。結局階段で二段になり撮影。ホテルに帰ってチェックすると、一枚にはオ-ブ。もう一枚には本殿の柱に謎の発光体が写っていた。ビデオには映像は写っていなかったが、低いうめき声で短い謎の言葉が録音されていた。

翌朝ロビ-でメンバ-の内の二人が真っ青な顔をしており、理由を聞くと、昨晩二人でコインランドリ-に行った際、一人の男が満面の笑顔で近づいてきて、
「お前に真実を教えてやろうか・・・」と言う。
「はいっ?」と聞き返すと、
「お前に真実を教えてやろうか?」と飛びっきりの笑顔で何度も聞いてきた。
こちらが不安になって「真実を教えてください!」すがるように言うと、
「教えてやらないよ」と笑って去って行ったという。
これも気味の悪い後日談である。

怖い話ばかりなんだが、なんとなくコミカルな場面もあり、続編も読んでみたくなった。

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